【第16回 2012.03.09】

「はやぶさ」プロジェクト

投稿者:浅野 安人(昭和47年卒 理学部 物理学科)

静岡市中心部にあるペガサートの6階で、毎月開催されている理学部主催の「サイエンス・カフェin静岡」も5年を経過しました。今年の1月の第60話ではJAXAのはやぶさプロジェクト・サイエンティスト吉川真氏の講演があり、二百名を超える聴衆で会場が埋まりました。

はやぶさが最後に撮影した写真と流星となったはやぶさ

「はやぶさ」開発の目的や地球帰還までの経緯、採取した微小サンプルの観察結果、イトカワが大変小さな小惑星のため、接近するまでその様子がよくわからなかったことなど、「はやぶさ」帰還のニュースをテレビ報道で見聞したときとは違い、担当した方からの直接お話はなかなか興味深く、感動さえも湧き出すほどでした。

「はやぶさ」の目的地イトカワは地球接近型のS型ケイ素質)小惑星で、その構成物質はコンドライトLL型を主成分とするものであることが確認されました。また、外観の色調が地上で観察されるものと異なり暗赤色である理由も、回収したサンプルの解析から、太陽風(コロナにより発生した荷電粒子)による風化のためであることが判明しました。また、日本独自の技術であるイオン推進機構の性能が確認できたことも大きな成果であるとのことでした。

はやぶさ2

JAXAでは、吉川氏がプロジェクトマネージャーとなって「はやぶさ2」の計画が進行中です。「はやぶさ2」は、地球接近型のC型(炭素質)小惑星1999JU3を目標として、2014年の6月又は11月に打ち上げが予定されています。小惑星の7割がこのC型とのことですが、この小惑星上では有機化合物の原型が採取できるのではないかと期待されています。

なんといっても、未知のことへの探究心を持ち続けることの大切さと面白さを伝えてくれたことに対して敬意を払いたい講演でした。科学に興味をお持ちの方は、ぜひこの「サイエンス・カフェin静岡」に参加されることをお勧めします。


なお、図及び写真の使用は、JAXA(宇宙航空開発機構)吉川氏の承諾を得ています。

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